知技心知る

古民家ペディア(用語集)

         

  • 網代(あじろ)
    木、竹、杉や桧の薄板などを削いだり裂いたりして、斜めまたは縦横に組んだもの
  • 現し(あらわし)
    木造建築で、柱や梁などの構造材が見える状態で仕上げる手法。天井を張らずに梁を見せるなど。
  • 鋳掛屋(いかけや)
    鋳掛 を行う職人のこと。鋳造された鍋、釜などの鋳物製品の修理・修繕を行う職業。鋳かけ、「鋳鐵師」 との表記もなされる。
  • 石目硝子(いしめがらす)
    石を削り取ったようなタッチのガラス。凹凸が深く光を反射し、光と影をあやなす華麗なムードを醸し出す。目隠し効果にも優れる。昭和31年頃まで製造されていたが、現在は国内製造されていない。型板硝子の一種。
  • おえ
    民家における戸口わきの部屋。京都などでは台所,秋田などでは客間を指す

  • 丸桁(がぎょう)
    丸桁の音読み「がんぎょう」が詰まった言い方。垂木(たるき)を支える桁のうち、最も軒先近くにあるもの。奈良時代には断面が円形の材(丸太)が使用されていたため「丸」が呼称に残っている。現在は由緒ある古民家や茶室に丸太を使った丸桁が残る。

  • サステナビーイング Sustainabeing
    理想の古民家暮らしを象徴する言葉。サステナブルな人間の在り方、生き方、持続可能な人間の在り方、生き方を表す、たいせつ古民家による造語。1947年国連によって使われた「ウエルビーイング」は、人間の心身の健康と自己実現を追求する人類中心の概念。それに対して、「サステナビーイング」は人間を環境の一部として捉えた、ホリスティックでサステナブルな人間のあり方、生き方のこと。宇宙/地球/生命中心で、「ウエルビーング」を大前提とし、その先にある自己を超越した利他的な生き方、あり方のこと。人間のウエルビーイングを追求し続けた歴史が、地球温暖化、生態系の破壊などを深刻化させ、逆に人間の生命までも阻害しているパラドキシカルな現状に問題を提起する日本語の造語。下記「サステナブルウエルビーイング」「サステナ・ウエルビーイング」に同じ。
  • サステナブル・ウエルビーイング / サステナ・ウエルビーイング Sustainable Wellbeing
    上記「サステナビーイング」に同じ。ただし「サステナブル・ウエルビーイング」”Sustainable Wellbeing”は、日本語圏以外を意識した表現。
  • 持続可能(じぞくかのう)なウエルビーイング
    上記「サステナビーイング」、「サステナブル・ウエルビーイング」「サステナ・ウエルビーイング」に同じ。
  • セピアカーボン Sepia Carbon
    古民家、古材、木製建具等の再利用による炭素排出削減の追求を表す、たいせつ古民家による造語。古民家再生における重要不可欠な考え方。グリーンカーボン、ブルーカーボン、ホワイトカーボン(例:CO2を吸収するコンクリート)と並ぶ、カーボンニュートラル追求策。セピアカーボンの一環として、古民家解体で生じた廃材を解体現場にそのまま残し、自然に還すことで、CO2排出を抑制する考え方についても、日本政府働きかけられている。
  • 総二階(そうにかい)
    上下階がほぼ同じ形、面積をした2階建て。2つの階の平面形が一緒で、外周がぴったりそろっている。床面積が1階より2階の方が小さい住宅のことは『部分二階』や『部分平屋』と表する。階を分けた『部分共有型』の二世帯住宅や、ガレージハウスにも採用される。土地面積のうち、建物部分に使用可能な床面積をフルに活かすことができる。地震に強いとされている。正方形に近いなどシンプルな形ならなお強い。それは地震の力が一部に偏ることなく、素直に下に逃げるため。例えば総二階でない(上下階の形が違う)場合は、荷重が偏り、地震の際にその引き抜き力、ねじれの力などが家の一部に対して過剰にかかることになる。一部に対して過剰な力がかかると、その部分が折れたり、抜けたりして倒壊につながる。

  • 中門(ちゅうもん)
    主殿造りの主殿で,広縁の端の短く突き出た部分。初期寝殿造り期書院造で中門廊の退化したもの
  • 吊り束(つりづか)
    普通は地面や床に立てる短い部材を束というが、桁や梁から吊る束もある。こうした束を吊り束とよび、鴨居を吊るのに吊り束が使われることが多い。

  • 長押(なげし)
    壁にある柱から柱へと水平に打ち付けてつなげた、日本建築における化粧部材

  • 蛭釘(ひるくぎ)
    茶室において、茶釜を天井から吊るすための釘

  • 卍崩し組子(まんじくずしくみこ)
    卍(まんじ)の字をくずした形を、木材を組み合わせて、連続して作ったもの。法隆寺の金堂・五重塔・中門などの欄干 (らんかん) にみられる。

  • 雪見障子(ゆきみしょうじ)
    上半分に障子、下半分にガラスを埋め込んだ建具。一般的な障子は木製の骨組みに障子紙が貼り付けられているが、雪見障子は上部に障子紙、下部にガラスを使用。上部の障子紙は太陽の直射日光を和らげつつ、柔らかい光を部屋の中に取り入れる役割を果たし、下部の透明なガラスからは、部屋の中から外の景色を見て楽しめる洒落た障子。ガラスから外の雪景色を楽しむことができるため、雪見障子という名前がつけられた。

  • 樓(ろう)
    高く作った建物。二階建ての建物。高殿(たかどの)。古代中国で、楼は2階建て以上の建物を指した。四方を観望する見晴しの高層建物を指す閣、見晴し用の高い壇を指す台,台の上に亭(あずまや)を築いた榭(しや)、あるいは見晴し用建築の観などと合わせて楼閣,楼台,楼榭,楼観などと連用して、この種の高層建物の類を総称する。木造の楼閣建築は、日本で遅くとも奈良時代、中国では漢代には出現した。中国に現存する遺構では独楽寺観音閣(天津市薊(けい)県、遼の984年建立)が最古とされる。樓についての参考文献『「楼」建築の「見られる」「登れる」要素 奈良時代における重層建築に関する考察(その1)』海野聡https://www.jstage.jst.go.jp/article/aija/76/669/76_669_2177/_pdf/-char/ja

  • 渡り顎(わたりあご)
    一つの木材を他の木材にのせるときの仕口で、上の木の下端に溝を作り、下の木の上端の中ほどを残した形に作り、それを互いに組み合わせたもの。