
山奥の古民家が、野菜フレンチの名店としてよみがえり
数学者への道を歩んでいた経歴から、「フェルマーの料理」の実在モデルと噂されることもある丸山オーナーシェフ。
壁にかかる何枚かの絵画のうち、色彩豊かで優しく心温まる絵は、シェフ自身が描いたものです。

そんな豊かな知性と感性を併せ持つシェフが創作する野菜フレンチ。
前菜、スープからメイン、デザートまで、サブリーユのコース料理は、地元上越の旬な野菜づくしで、美味しく彩られています。
コースの締めデザートは、時々の旬の野菜を主役に据えた「野菜パフェ」です。
野菜パフェ?デザートが野菜?と最初は驚きます。
例えば、以下のような旬な地野菜が、「○○パフェ」として、これまでコースの最終章を見事に締め括ってきました。
アスパラ菜(1~2月)、大根(2月)、雪下ニンジン(3月)、フキノトウ(4月)、レタス(5月)、アスパラ(6月)、キュウリ(6月)、トマト(6月)、トウモロコシ(8月)、えんぴつ茄子(9~10月)、カボチャ(9月)、レンコン(10月)、きのこ(10月)、ほうれんそう(11~12月)、セロリ(12月)といった具合です。


サブリーユの野菜パフェを食べるたび、主役の野菜が持つ本来の甘さと、フレンチのコースを締めくくるデザートパフェとしての絶妙な仕上がりに、驚かされます。
シェフの次の言葉を読み、その理由に納得しました。
「野菜パフェはサブリーユのスペシャリテです。普段はデザートにすることのない素材をデザートにすることで、新しい味覚の発見を楽しんでもらえると思います。未知の味の世界に小旅行です。
野菜パフェは、グラスの中での味の変化を大切にしています。グラスの中で、旬な地野菜と相性の良い素材を組み合わせています。グラスの中で素材と素材が融合して、未知の味わいが生まれます。」
山奥の築100年程の古民家が移築され、ビストロとして蘇った
野菜パフェの味と同様に、サブリーユには、その外観からは想像ができないものがあります。
サブリーユの庭は、毎年5月「上越オープンガーデンと花めぐり」のイベント期間中、一般公開されます。

色とりどりの薔薇咲く西洋庭園や、カラフルな窓が目をひく、美しい店構えのフレンチレストランが、元々、上越市牧区の山奥あった築100年程の日本の古民家であったことを知れば、誰もが驚くでしょう。
それは、野菜パフェを食したときの感動のような、想像を超えた驚きです。

上越市東北の内陸山間部に位置する、牧区高尾と小川の間の「雨露(うろ)」という、地図に表記されていない山奥の小さな集落に、その古民家はありました。
この古民家は、この地域で唯一の萬屋(よろずや)さんでした。
二階建ての旅籠づくりで、屋根は木端葺でした。
第一次大戦後の戦後恐慌のなかで、二階建てが贅沢とされるようになり、二階があっても造作は禁止されていた時代です。山間地の周辺の民家は茅葺の時代ですから、高くそびえる木端葺二階建ての旅籠づくりの建築は、とても珍しかったでしょう。
そんな貴重な古民家が、丁寧に手壊しの技で解体され、山奥から海辺の町へ降ろされ、移築され、100年あまりの時を経て、新たな生を得てフレンチレストランとして蘇ったのです。
たいせつ古民家としての見どころ
牧区雨露から移築された古民家の立派さは、サブリーユの奥のホールの吹き抜けを見上げると一目瞭然です。
通常の建物の三階に相応する高さの天井へ吹き抜けた空間のはるか高くに組まれた、太く立派な欅の梁組みは圧巻です。
そして採光窓の位置の高さは、この堅牢優美な古民家が、通常の2階の高さまで雪に埋もれてしまう豪雪地に建っていたことを教えてくれます。

構造以外にも、古民家の優美が随所に見られます。
例えば、奥のホールの床板には、フローリングの床には必ずある縦方向の継ぎ目がなく、驚かされます。現代のフローリングは長い場合でも約1.8メートルごとに継ぎ合わせをしますが、サブリーユでは、見たこともないほど長い贅沢な古材の一枚板を、床材として再利用しているのです。

床以外にも、天井、扉、壁等各所に、古材、古い建具、アンティークガラス等がふんだんに再利用されています。

古材や木製建具等のリユースは、その優美さに加えて、カーボンニュートラルという点で極めて重要です。
たいせつ古民家では、古材等の再利用による炭素排出削減の追求を「セピアカーボン」と命名し、古民家再生における重要不可欠な考え方としています。
また、サブリーユでは、古材等の再利用に加えて、断熱材にウールを使っており、環境負荷の軽減が徹底追求されています。
またサブリーユでは、古材や古い建具を再利用する際に、そのまま使うのではなく、明治/大正/昭和レトロ的なデザインのガラスや電灯を組み合わせたり、個室の腰板をヘリンボーンに組んだり、きらびやかな西洋タイルと組み合わせたりしています。
そのため、サブリーユでは、東洋と西洋の美の融合が、随所に見られます。
ワインレッドの優美なデザインのアメリカ製薪ストーブの三方を、大谷石で贅沢に囲み、熱からお客様と建物を護っているのもその一例です。






たいせつ古民家の移築は、古民家イノベーションにより新たな価値を創造する
山奥から下ろされた庄屋の古民家が、新しい土地でビストロとして再び命を吹き込まれ、新しい歴史と物語を紡いでいます。
たいせつ古民家の移築は「古民家x○○」という新結合を可能にし、古民家イノベーションを通じて、古民家の新しい在り方や姿と、新しい価値を創造します。
古民家移築や再生を検討している方にとって、サブリーユは、たいせつ古民家の移築再生が広げる古民家の新たな可能性=古民家イノベーションが創造する新たな価値を体感できる、理想の教科書といえます。


店舗情報
〒949-3114 新潟県上越市大潟区上小船津浜714