たいせつ古民家とは

ブランドストーリー

耐雪(たいせつ)

「豪雪x豪農」が産んだ「耐雪古民家」

「耐雪古民家」とは新潟県の上越後(かみえちご)※地域に遺る古民家のこと。
「豪雪」と「豪農」に象徴される上越後の厳しい自然と豊穣の歴史の組み合わせが産んだ唯一無二のプレミアム古民家です。

豊穣の歴史が遺した古民家

東西に長い新潟県は京都に近い西から上、中、下越(じょう、ちゅう、かえつ)、そして北に佐渡島の4つに分かれます。
上越(じょうえつ)=上越後の中心地である現在の上越市は、奈良時代(1300余年前)に国府が置かれた越後国(えちごのくに)における政治と文化の中心地でした。

上越の豊穣の歴史は縄文時代(※2)から現在(※3)まで続いています。
戦国期に越後の国を統一した上杉謙信の本拠地でもありました。
米作が主産業であった時代、新潟県は全国で最も豊かな地域(※4)で、なかでも北前船の寄港地直江津を配した上越は豪農や庄屋と呼ばれる地主が隆盛を極めました。

現在上越後に遺る古民家は、地主たちが最盛期であった江戸後期から戦前(GHQによる農地解放前)期にその財力をもって建造した豪邸と蔵です。

豪雪が育んだ堅牢優美

世界一の豪雪都市と称される(※5)上越市をはじめとする上越後全域が豪雪地帯です。
上越後特有の湿った重い豪雪に永く耐えてきた堅牢な構造を成す太く堅い欅(※6)の梁、差鴨居、柱、雪の重みで根曲りした欅の鉄砲梁…
それらに象徴される構造の強さと美しさ=堅牢優美に「耐雪古民家」の唯一無二の価値があります。
堅牢優美な「耐雪古民家」とその古材は国内外の古民家通の間で密かにブランド化しています。

理想の古民家を全国で探し尽くした古民家通は最後に上越後に辿り着きます。
日本の古民家を海外に移築していたカールベンクス氏が約30年前上越後の東頚城竹所の古民家に惚れこみ移住し、古民家再生における日本の第一人者となったことも偶然ではないでしょう。

カール氏がデザインに関わった「古民家再生物語」(長谷川和男著)で再生された古民家は上越市安塚より山梨へ移築されたものです。施主の長谷川氏はリクルートで住宅情報事業に携わり、「民家の美と文化」をテーマに、日本および世界80余カ国の古民家・古民家集落・再生民家を訪れ、情報収集と撮影、日本全国・世界各国の古民家や町並みを40 年にわたり訪ね、古民家の再生活動にも取り組んできたプロ中のプロです。その長谷川氏が選んだのも上越後古民家でした。

妙高にあるとても素敵な古民家カフェのオーナーさんは、理想の古民家を探して全国を40年間まわり、最後に妙高の古民家に出会い、関東から移住しカフェをオープンしました。

上越後からは40年以上に渡り推計数百棟の耐雪古民家が北海道から九州まで全国に広く移築されてきました。
「耐雪古民家」の構造の堅牢さが、解体/移築を可能にしているのです。

大切

人類の大切な遺産

2020年、日本の「伝統建築工匠の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」が国連機関により世界無形文化遺産登録されました。
太く堅い欅(※6)の梁や柱、差鴨居、鉄砲梁を、釘やビス、金具等を使わず組み上げる伝統工法により「耐雪古民家」は建造されました。

世界最古の木造建築法隆寺から奈良時代に国府が置かれた上越後の棟梁と大工に受け継がれ今も遺る伝統工法の結晶が「耐雪古民家」と言えます。
「豪雪と豪農」に象徴される厳しい自然と豊穣の歴史の唯一無二の組み合わせのなかで、世界遺産となった伝統工法によって創られた歴史的木造建築/文化遺産が「耐雪古民家」なのです。

新たには、かつ二度と創ることのできない「耐雪古民家」の価値はカーボンニュートラルや持続性が求められる世界において今後更に高まります。

「耐雪古民家」は、日本そして人類の「大切」な財産です。

大切に承継する心

しかし、人類の財産としての「大切」な価値が認識されていない地元上越後地域では、「耐雪古民家」の約8割が続々と解体されています。
そして上越後のみならず、全国で深刻化する空き家問題には、表裏一体のもう一つの問題として、古民家の空き家化と解体/崩壊による消失があります。

そのため「たいせつ古民家」には以下のような承継の心を込めています。

  • 人類の財産としての「耐雪古民家」、及び日本の古民家を空き家化と解体/崩壊による消失から大切に守り継ぐ心
  • 相続、移住、移築等のご縁で受け継いだ古民家に大切に住まう心、住み継ぐ心
  • 古民家が受け継いできた歴史や思いを大切に暮らし継ぐ心
  • 世界遺産として評価された日本の伝統建築工匠の技、木続建築の伝統技術を伝え継ぐ心

※1. 上越後とは上越市を中心とする旧頚城郡(東/中/西頚城)に当たる新潟県西部地域
※2. 上越市では、約3万年前から人々が暮らしたあと(縄文時代の遺跡)が見つかっています。上越市で巡る歴史の旅 – 上越市ホームページ (city.joetsu.niigata.jp)
※3. 上越市は新潟県の住みよさランキング一位。新潟県上越市のランキングと都市データ 【OCN不動産】
※4. 大正3年50町歩以上所有の大地主数は新潟が日本一で256戸、千町歩以上は全国9軒中5軒が新潟県。明治30年前の過半年で新潟県の人口は全国1位
※5. 積雪世界一 8m18cm! 上越市板倉区柄山の春 – 上越タウンジャーナル (joetsutj.com)【知られざるニッポン】vol.61  積雪世界一の記録は、伊吹山山頂に! (tabi-mag.jp)
※6 コスト重視の家づくりのなかで、現代の大工仕事はプレカットされた材を組み上げ電動工具で接合するため、ノミを使う機会が失われ、堅い欅を扱う技能も失われつつあり、欅はあまり使われなくなっている。